池波正太郎捕物シリーズ 鬼平犯科帳
第2シリーズ 第10話・隠居金七百両
初回放送1971年12月9日
隠居金七百両・あらすじ
道場でこんてんぱんにされた平蔵の息子・辰蔵(中村吉右衛門)。帰り道、剣友で旗本のせがれ阿部弥太郎に音羽下に行こうと誘われる。 (当時、音羽-文京区-に女と遊べる盛り場があった)
音羽には来たものの、辰蔵は「ここらの女には、興味がない」と言い出す。弥太郎が、女でもできたのかと問いただしたが、図星だった。
二人は、辰蔵が気に入っている娘が働く、鬼子母神前の茶屋(笹屋)に来た。ところが辰蔵は、茶をもってきた娘に話しかけることもできず、硬くなっている。
娘の名はお順(菱見百合子)といい、父・次郎助と二人で店をやっていた。次郎助が団子を焼いていると、店の前に薬売りが通りかかり、目配せをして来た。次郎助は、気付くと「ちょっと出てくる」と、どこかに出かけていった。
池にかかる橋の上で、次郎助はさっきの薬売りと言葉を交わす。薬売りは薬師の半平といい、盗賊白峰のお頭の子分。かつての仲間だった次郎助をたずね、京からやって来た。次郎助は、4年前まで盗賊の一味だったのだ。
夜。改めて次郎助の家にやってきた半平。お順が、二階に下がった所で、おもむろに頼み事があると次郎助に話始める。お頭の隠居金七百両を預かって欲しいというのだ。
盗人の隠居金は、最後のお勤めで作るもの。足を洗わぬうちに、子分に隠れて貯めていたことがバレたら、殺されても文句はいえないものだ。しぶしぶ引き受けた次郎助は、その金を鬼子母神の床下を掘って隠した。
一方辰蔵は、書庫で見つけたべっ甲の簪(かんざし)をお順にあげて気をひこうと考える。だが店に行っても閉まっている。翌日、また行ってみたが、やはり閉まっていたので、向かいの茶屋で茶を飲みながら、店の婆に様子を聞くも何故閉まっているのか分からなかった。
その時、店の戸が開きお順が姿を見せた。危険を感じた次郎助が、お順を知り合いのところに預けることにしたのだ。そうとは知らぬ辰蔵は、今日こそお順に声をかけようと後をつけていったのだが、目の前でお順は隠居金を狙う白峰のお頭の子分にかどわかされてしまった….
見所
今回は、辰蔵の登場する話。四代目長谷川平蔵を演じる中村吉右衛門が、ここでは平蔵の息子を演じています。
平蔵を演じるのは、右衛門の父・松本幸四郎。エンディングでは、辰蔵が平蔵に剣の稽古を付けられるシーンもあって、親子競演が楽しめます。
渋くてダンディな平蔵を演じる中村吉右衛門ですが、辰蔵では女好きで、どうもしまらない感じなのが面白いです。こんな楽しみ方ができるのも、時代劇の面白さですね。
いっぽうお順を演じる菱見百合子といえば、ウルトラセブンでウルトラ警備隊のアンヌ隊員を演じていて、今なお多くのファンを魅了しています。時代劇でまた違った雰囲気を見られるので、ファンにはぜひ見てもらいたい。
オープニングクレジット
原作:池波正太郎(オール讀物連載・文藝春秋社刊)
脚本:安倍徹郎
音楽:山下毅雄
出演
長谷川平蔵:松本幸四郎
酒井祐介:竜崎勝
久栄:風見章子
竹内孫四郎:武田昌之
山崎国之進:北川陽一郎
小柳安五郎:高瀬敏光
薬師の半平:宮川洋一
島田鐐助:高杉哲平
松浦与助:山田禅二
阿部弥太郎:岩崎信忠
孫吉:土方弘
奈良山の与市:勝部演之
お順:菱見百合子
堀切の次郎助:加藤嘉
長谷川辰蔵:中村吉右衛門
監督:小野田嘉幹
エンディングクレジット
プロデューサー:宮崎慎一(NET)、市川久夫(東宝)
協力プロディデューサー:香取雍史
撮影:小泉一
照明:山口偉治
美術:小汲明
録音:竹口一雄
整音:豊田博
助監督:小俣堯
殺陣:宇
編集:神島帰美
現像:東洋現像所
プロディデューサー補:久東晃
演技担当者:戸井公平
制作担当者:中嶋健二
制作:東宝株式会社、NET