平蔵若かりし頃、本所の銕として無頼をしていた時からの付き合い。ドラマの掛け合いでも息がピッタリ!流石です。そもそも彦十役の江戸家猫八さんはモノマネ(特に動物の鳴き声など)が職業の方です。テレビ創世記の頃にはモノマネで一世を風靡したものです。鬼平の登場は本所桜屋敷からです。彦十は元は本所界隈の岡場所に巣食っていた香具師あがりの無頼者です。平蔵が無頼をしていたころのと入り巻きの一人でした。
その本所桜屋敷で登場するのですが、この中では博打が原因で無頼の奴らに傷めつけられていたところを、平蔵に助けられて20数年ぶりに再会します。平蔵が火盗改メとしってから、「こんなひからびた命、いつ捨てても惜しくない」という覚悟で平蔵の密偵として働きます。酒が好きで五鉄の二階に居候として住み、平蔵からとっつあんと呼ばれています。
前身が前身だけに、その経験や人脈が密偵として役に立っており、盗賊高萩の捨五郎とは、お互いに身寄りのない似たような境遇から友情で結ばれたりもするが、ついつい昔のクセが抜けきらずに、本格派の盗賊には肩入れしそうになり平蔵に叱られることも再三。平蔵のことを銕つぁんと呼ぶこともあり、平蔵には同心たちとも他の密偵とも違う、心を許せる仲間です。
相模の彦十役は猫八さんが亡くなった後に、長門裕之さんが彦十役になりましたが、また一味違う個性的な彦十として記憶に残っています。
江戸家猫八さんは2001年12月10日に亡くなりました。鬼平他に数多くのドラマや映画にも出演。鬼平犯科帳に出演していたこともあり、所属していた落語芸術協会の現会長である桂歌丸から中村吉右衛門のサインをもらってほしいと仲介役を頼まれたことがあったという。これは、吉右衛門と歌丸の接点が直接無かったためとのことだが、猫八没後に吉右衛門は頭をなでながら「(歌丸が)照れ屋さんだったんでしょうね」と語っている。